フィジカルインターネットシンポジウム2023
〜SIPスマート物流サービスの成果〜

崩壊寸前に迫った日本の物流、解決を急げ
産官学一体で「フィジカルインターネット」の実現へ

EC(電子商取引)市場の伸びが多品種・小ロット輸送を急増させ、トラックの積載効率を4割以下に押し下げている。加えてドライバーの不足と高齢化が加速している。このままでは、2027年には24万人が不足し、2030年には物流需要の34%が運べなくなるとの試算もある。日本の物流は、まさに崩壊寸前の危機にある。その打開策として注目されているのが、究極の共同物流「フィジカルインターネット」だ。2040年の実現を目指し、産官学が協力して進めている。「フィジカルインターネットシンポジウム2023」の様子をリポートする。

開会挨拶

一般社団法人フィジカルインターネットセンター
代表理事
荒木 勉 氏
本シンポジウムは、今回で5回目を数える。危機にひんする物流の課題を解決するキーワードは、フィジカルインターネットしかない。2020年1月に、第1回のシンポジウムを開催した。2021年1月には第2回をオンラインで開催し、米ジョージア工科大学教授のブノア・モントルイユ氏と仏パリ国立高等鉱山大学教授のエリック・バロー氏がライブで登壇。フィジカルインターネットへの関心は徐々に高まり、2022年3月に開催した第3回には1500人以上が申し込み、900人以上がオンラインで参加した。
前回に引き続きオンラインとオフラインの同時開催を実現
今年3月で「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)が終了することを受け、SIPを核にフィジカルインターネットを実現し、日本の物流危機を乗り越えるための知恵を集める目的で、本日第5回を開催する。競争領域と協調領域を明確に分け、物流の現場ではあらゆるステークホルダーが協力すべきだ。フィジカルインターネットとは、究極的にオープンな共同物流のことである。「物流崩壊の危機を防ぐため、ぜひともフィジカルインターネットを実現していきたい」と述べた。

講演SIPスマート物流サービスの研究開発の成果

内閣府
SIPスマート物流サービス
プログラムディレクター(PD)
田中 従雄 氏
今年3月で終了するSIPの成果を報告した。内閣府が進める「総合科学技術・イノベーション会議」の中に設置されたSIPは、2018年度から2022年度までの5年間で、基礎技術の研究から社会実装までを目指すプロジェクトだ。全部で12のテーマがあり、その1つに「スマート物流」がある。

2017年ごろ、物流が中長距離を含めて危機的状況に陥った。主な理由は3つある。「人手不足」「小ロット多頻度化によるニーズの多様化」「付帯作業の増加」だ。その結果、トラックドライバーの減少と高齢化が加速した。物流コストの増加が消費者物価の上昇につながり、社会の関心を高めてきた。

その解決には、3つのコンセプトが必要になる。「サプライチェーン全体で物流の最適化を考える」「デジタルによって情報をつなぎ合わせ、最適化する」「生成したバリューは関係者全員でシェアする」だ。

物流と商流を統合するデータ基盤を作り、あらゆる情報を集約して活用する必要がある。それには、データの標準化と技術開発が欠かせない。SIPでは、核となるデータ基盤の開発とそれを活用したアプリケーションの開発を「研究開発項目(A)」とし、AIを活用した画像認識や新型RFIDなど、今まで取得できなかった物流情報を収集する技術の開発を「研究開発項目(B)」として進めた。また、同時並行でデータの標準化にも着手し、物流情報標準ガイドラインを策定した。目指す世界は「Society 5.0」だ。その具体的な姿がフィジカルインターネットである。その実現には物流DXが欠かせない。

「5年間の活動の中で、物流の重要性を改めて認識しました」と、田中氏はSIPの活動を振り返る。物流は産業を支える血流であり、担う役割も大きい。物流を持続可能にするには、フィジカルインターネットを実現するしかないと述べた。

講演フィジカルインターネット実現のロードマップ

経済産業省
大臣官房審議官(商務・サービス担当)
澤井 俊 氏
貨物輸送サービスの価格は2010年代後半に過去最高を記録し、さらに高騰を続けている。それにもかかわらず、トラックドライバーの年収は全産業の平均以下にとどまる。ECの拡大が多品種・小ロット輸送を増加させ、トラックの積載効率が下がっているからだ。

加えて、労働環境の悪化と少子高齢化の影響により、2000年代後半からドライバーの数が激減。2027年には24万人が不足し、2030年には物流需要の34%が運べなくなるとの試算もある。また2024年には、ドライバーの時間外労働の上限規制が始まる。2019年比で最大14.2%(4億トン)の輸送能力不足が懸念されている。これが、いわゆる「2024年問題」だ。
運送業における運転従事者とトラックドライバーの平均年齢の推移
これに対処するため、経産省、国交省、農水省が事務局となり、「持続可能な物流の実現に向けた検討会」を発足した。2023年1月をめどに中間取りまとめを行い、業界ヒアリングを経て、2023年5~6月に最終取りまとめを行う。

また、「物流も統合したサプライチェーン全体の最適化」と「企業間の協調・連携による物流改革」の両輪で解決を図る必要がある。2040年までにフィジカルインターネットを実現するため、「フィジカルインターネット実現会議」を設け、「フィジカルインターネット・ロードマップ」をまとめ、2022年3月に公表した。政府レベルのロードマップとしては、世界初となる。

商慣習の変革は、ビジネスの現場に負担とストレスを強いる可能性がある。それを乗り越えるには、全体最適化による合理性の説明とメリットの明確化が必要だ。「それを経営トップの方々に認識してもらうことが非常に重要になります」と語った。

講演さらなる企業間連携に向けた物流標準化の推進

国土交通省
総合政策局物流政策課
課長
平澤 崇裕 氏
「総合物流施策大綱」を5年おきに改訂している。現在はその第7期。2021年6月に策定した。ドライバー不足や2024年問題などの課題が深刻化している。また、カーボンニュートラルに向け、2030年に運輸部門でCO₂を35%削減するという目標もある。

物流政策は3本柱で進めようとしている。「物流DXや物流標準化の推進」「労働力不足対策と物流構造改革の推進」「強靭で持続可能な物流ネットワークの構築」だ。また、生産性向上の観点から物流DXが必須となる。機械化、自動化、デジタル化を通じて、物流のあり方を変革する。それには、「既存のオペレーションの改善と働き方改革」と「物流システムの規格化を通じた物流のビジネスモデルの革新」の2つが重要になる。

部分最適化に陥らないようにするには、ソフトウエアや業務プロセス、ハードウエアの標準化が欠かせない。パレットや外装のようなハードウエア面と、伝票やデータなどのソフトウエア面の両面から標準化を進める必要がある。

「官民物流標準化懇談会」を2021年6月に立ち上げ、産業界、学術界の専門家が標準化について議論している。その具体的成果として、「パレット標準化推進分科会」が2022年6月に発表した「中間とりまとめ」の内容と今後のスケジュールを解説した。「総論賛成、各論反対に陥りやすいが、それを乗り越えて強力に進めていきたい」と平澤氏は述べる。

標準化は、具体的な業種分野ごとにも進んでいる。具体的には、加工食品や青果物、紙加工品、菓子などの分野で標準化の取り組みが加速している。

講演フィジカルインターネットの最新動向

上智大学
名誉教授
荒木 勉 氏
「もう50年以上、生産と物流に取り組んできました」(荒木氏)。生産の研究はかなり進んでいるが、物流の方はなかなか進まない。なぜか。個社のレベルではどうにもならない、巨大な社会システムが対象になるからだ。

フィジカルインターネットの概念について解説した。カナダのケベック州から米国ロサンゼルスまで、約5000kmの長距離を1人のドライバーが寝泊まりしながら運ぶより、300km間隔で17人のドライバーが交代するリレー型の方が早く安くなり、ドライバーの負担も少ないことを証明した。この「リレーで送る」というのがインターネットの原点であり、フィジカルインターネットのコンセプトでもある。

パリ国立高等鉱山大学教授のエリック・バロー氏は、フランスの大手スーパーである「カリフール」と「カジノ」の2社がお互いの物流センターを共有すると、在庫は3分の1になり、CO₂排出量は60%削減され、輸送距離も15%削減できることを証明した。キーワードは「シェアリングエコノミー」と「ミルクラン(共同集配)」だ。
共同物流拠点の有無で生じる差
「生産財と消費財が同じトラックをシェアしなければ、平均積載率を40%から80%に上げることはできません」(荒木氏)。「加工食品と日用雑貨で卸業者が違う」といった日本特有の課題を、全員が納得できる形で乗り越える必要がある。

フィジカルインターネットセンターは昨年6月に設立され、ヤマトグループ総合研究所が進めてきた事業を継承した。同センターは、営利事業はせず、中立的な立場で標準化に必要なテーブルを用意し、モデルの実証実験などを進めていくと述べた。

ビデオメッセージフィジカルインターネットに期待すること

東京大学
先端科学技術研究センター
教授
西成 活裕 氏
「フィジカルインターネットは10年以上前に提案された概念だが、ここまで話が広がってきたことに驚いています」(西成氏)。日本の物流には、2024年問題に代表される課題が山積している。

トラックの平均待機時間が2時間近くあり、ビジネス機会と労働力の損失が起きており、平均積載率も4割を切っている。システムを共有し、ドライバーを含めた物流資源の有効活用が急務であり、それに不可欠なのがフィジカルインターネットだ。

その実現に向け、同氏は「デマンドウェブ」を提案している。製造、倉庫、輸送交通のネットワーキングとオープンシェアリングを進めた究極の姿だ。「作って運んでも、結局売れずに捨てることは究極の無駄です。一切あってはなりません」(西成氏)。

メーカーの考えで商品を作り、小売り事業者へ流していくのではなく、逆に小売り事業者のニーズをメーカーに吸い上げ、ニーズがあるものだけを作る。この考えは、フィジカルインターネットの最初の論文にも書かれている。サプライチェーン全体で需要予測を行えば、在庫をかなり削減できる。消費者に近い小売り事業者の情報を、卸売り事業者やメーカーと共有し、上流から下流までを情報でつなぐ。

「日本の産業界は縦割りで競争原理が強く、まとまりにくい。しかしフィジカルインターネットは、皆がまとまらないと実現はできません」(西成氏)。いきなり大きく始めようとしても、うまくいかない。「業界や企業ごとに相性の良い部分から小さくスタートし、それを横につなげて大きくしていくのが日本流」と述べた。

「労働生産性の向上」「物流リソースの稼働率向上」「環境負荷の低減」の3つをKPIに分解し、現場のインセンティブにつなげていく必要がある。国家レベルの視野でフィジカルインターネットをけん引すべきだとした。

ビデオメッセージヨーロッパでの
フィジカルインターネットの取り組み

ALICE
事務局長
フェルナンド・リエサ 氏
ALICE(Alliance for Logistics Innovation through Collaboration in Europe)はベルギーのブリュッセルに本部を持つ非営利組織で、欧州委員会から欧州技術プラットフォームとして認定されている。新コンセプトを開発し、メンバーが協働する機会を提供している。主なミッションは「貨物輸送と物流の脱炭素化を加速し、経済的な方法で実現すること」だ。

2020年に「物流ノード」「物流知識」「物流ネットワーク」「アクセスと適用」「ガバナンス」の主要領域を含むフィジカルインターネット実現へのロードマップを発表した。鉄道や内陸水路輸送を活用し、物流とサプライチェーンの柔軟性を向上させる。

欧州連合(EU)は、2025年8月に完成する予定の「ペーパーレス物流」に向け、「電子貨物輸送情報(eFTI)規則」を準備している。同規則により、EU加盟国は物流を含むあらゆるビジネス分野において、デジタル情報を受け入れる義務を負う。「ほとんどのオペレーションが、データ共有とデータ情報に基づいて運営されることになります」とリエサ氏は述べた。

大企業の間でも、フィジカルインターネットの実現に向けた協働が始まっている。例えば、スマートボックスは完全に標準化された再利用可能なコンテナだ。高い業務効率を生み出し、物流ネットワークを確かなものにする。

フィジカルインターネットへの関心は、欧州でも高まっている。ALICEのような支援組織の取り組みも充実し、物流DXのエコシステムが整いつつある。2023年6月13~15日にギリシャのアテネでフィジカルインターネット・カンファレンス「IPIC 2023」を開催する。ぜひ参加してほしいと述べた。

パネルディスカッションスマート物流サービスの実現に向けて
進まない課題認識、どう乗り越えていくか?

経済産業省
大臣官房審議官(商務・サービス担当)
澤井 俊 氏
国土交通省
総合政策局物流政策課
課長
平澤 崇裕 氏
内閣府
SIPスマート物流サービス
プログラムディレクター(PD)
田中 従雄 氏
上智大学
名誉教授
荒木 勉 氏
<モデレーター>
ローランド・ベルガー
パートナー
小野塚 征志 氏

小野塚(以下、――) 課題意識がなかなか高まらない中で、様々な課題をどう乗り越えていくべきか?

田中 「総論賛成、各論反対」の議論が多いです。いきなり大きな基盤を作ることはせず、企業や業界ごとに小さく始め、つなぎ合わせて大きくするコンセプトで始めています。その好例として、東京五輪の前にコンビニチェーン3社が始めた共同配送があります。アジャイル的な開発手法で試し、成果を確認できたことで大きな一歩と評価できるでしょう。

澤井 フィジカルインターネットの実現に向け、ロードマップに基づいて作業を進めます。物流会社の努力だけでは無理であり、小売り(川下)から製造(川上)まで、すべてを含むサプライチェーン全体で解決していかなければ不可能。そのために、スーパーマーケット、百貨店、建材住宅設備の3つのワーキンググループを作り、さらに横展開させていきたいと考えております。

平澤 標準化の難しさを痛感しています。物流の場合、ステークホルダーが非常に多く、標準化を進めるには、競争領域と協調領域を整理していく必要があります。例えば、パレットの標準化について最終取りまとめに向かって推進しているが、倉庫の設計など、パレットを取り巻く環境も一緒に考えていく必要があります。

荒木 SIPは、わずか3年でよくここまでの成果を出しました。共同物流の概念実証(PoC)を進めてきたが、やはり本物のビジネスになるにはもう少し時間がかかりそうだと考えます。今、特許庁とスマート物流に関する技術開発状況を調査しており、実は、スマート物流に関する技術開発はかなり進んでいます。実を結ぶチャンスはきっと来る。国が指導力を発揮してくれると、さらに加速すると思います。

ピンチをチャンスに変えるには、何が必要か?

――「CO₂の削減」という新たなテーマは、推進力になるか?

田中 なるでしょう。CO₂削減に加え、コロナ禍とカーボンニュートラルを推進力にスマート物流の取り組みが加速しています。とはいえ、まだ本気になれない企業も多く、さらにスピードを上げるには、行政の力も借りてアクセルを踏む必要があります。

――フィジカルインターネットセンターには、その受け皿としての機能が求められている。ピンチをどうチャンスに変えていくべきか?

荒木 物流システムは永続的に進化し続けるものであり、完成という概念はないです。まずは当事者がイメージしたものを仕上げつつ、社会の変化に対応させていくことが必要。また、オープンなシステムだけに、ステークホルダーが特定できず、物流のそれぞれの段階にいる人たちが、持ち味を発揮できる機会を作る必要があります。物流はコストセンターではなく、プロフィットセンターであることを示しています。

パネルディスカッションの様子

――ロードマップでは、経済効果だけでなくCO₂の削減効果にも触れている。これを進めるうえでのポイントは?

澤井 CO₂削減の観点からも、フィジカルインターネットの効果は期待できます。すでにいくつか事例があり、例えば、江崎グリコは油や小麦粉、砂糖、香料など、多彩なサプライヤーから原材料を導入しています。かつては、関東の5つの工場にそれぞれ納品させていました。それを、1カ所の物流センターに納品させる形に切り替えました。センターで5つの工場分に仕分けし、ミルクラン方式で届ける。その結果、CO₂を75%削減し、トラックの台数も34%削減できました。

――2024年問題でトラックが激減したら、34%の荷物が届かなくなるという試算もある。この危機を打開するため、国交省はどのような取り組みを進めるのか?

平澤 ポイントは物流の生産性向上にあり、その1つが物流DX。つまり、デジタル化と機械化だ。そのための標準化をしっかり進めていく。生産性向上にもいろいろあるが、分かりやすいのは積載率を上げることです。そのためには共同配送が必要になりますが、今あるデジタル技術で実現可能。材料はすでに調っており、活用する段階に来ています。ピンチをチャンスに変えるため、成功事例をしっかりと周知させ、ビジネスモデルの可能性を示し、気づき、使ってもらえる環境を整えていきたいと思います。

産官学連携への期待とメッセージとは?

――産官学の連携に対し、最も期待していることは何か?

澤井 経産省は、荷主になり得る業界を中心に所管しています。1つ目の期待として、2024年問題を認識してほしいです。サプライチェーン全体で解決していく必要があり、物流部門だけで対応できる問題ではないことを、企業の経営陣に理解してもらう必要があります。

2つ目は、理想的なイメージと実際の取り組みがかけ離れていることの認識です。地味な仕事や細かい調整を要する仕事が山のようにありますが、その半面、すぐに何か大きく変わるわけではないです。粘り強く取り組んでいただくことを期待します。

平澤 すでに物流事業者は自分事としてとらえているところが多いと思いますが、まだ認識が不十分な企業もあります。2024年にドライバーの時間外労働規制が発動したらどうなるかを想定し、できることから進めてほしい。カーボンニュートラルに向け、トラックのEV化を検討する必要もあります。引き続き、標準化やデジタル化の取り組みをしっかりと官民連携して進めていきたいです。

田中 改めてお願いしたいのは、情報共有。情報を水平、垂直に展開し、そこから何が生み出せるかを皆で考えてほしいです。特に民間企業にお願いしたいのは、情報は競争の源泉ではなく、協調や共創の源泉だという意識を持ってもらうことです。データの利用方法に関しては、学術界への期待も大きいです。

荒木 今日は会場に来た方が約100人、オンラインで400人ほどが参加しています。500人の参加は大きい。昨年の1年間で2回も開催したため、今日の参加者はもっと少ないと想定していました。2023年1月9日号の「日経ビジネス」が、物流の課題を取り上げ、「2023年の最大のテーマは物流にある」と同誌が考えている証左でしょう。世の中の関心は確実に高まっています。産官学は、それぞれできることを進め、特に官が動いてもらうことがカギになると思います。

――最後に、ひと言ずつメッセージをお願いしたい。

澤井 何としても、フィジカルインターネットを実現する。サプライチェーン全体の問題なので、経産省は本気で取り組みます。

平澤 SIPの成果として出てきた「物流情報標準ガイドライン」が重要。システムの公開を検討される際は、このガイドラインを使ってほしいです。

田中 フィジカルインターネットは、スマート物流が目指してきた北極星。一つひとつの改革、ソリューションを皆で実現していけば、必ず目標に到達できます。

荒木 フィジカルインターネットがメディアで取り上げられなくなるほど、普通のことに早くなってほしいです。相談に必要なテーブルは、フィジカルインターネットセンターが用意します。

閉会の挨拶

国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
港湾空港技術研究所
所長
河合 弘泰 氏
SIPの第2期、2018年度から2022年度までの5年間に取り上げた課題が「スマート物流」だ。トラックドライバー不足が深刻化し、輸送のニーズが多様かつ多頻度化し、積載率が低下するなど、日本の物流が抱える課題の解決を目指してきた。物流商流データ基盤の構築、省力化、自動化に資する自動データ収集技術などの研究開発を進めた。

成果の一部はすでに社会実装を始めており、今後さらに加速する。本日のシンポジウムでは、この5年間の成果を報告した。スマート物流の実現と、その先にある究極にオープンな共同物流、フィジカルインターネットの実現に向けた道筋や課題、産官学の役割について議論した。

SIP第2期の研究開発は、本年度で終了する。本シンポジウムの共同主催者であるフィジカルインターネットセンターに、SIPの業種横断的な普及啓発とガイドラインの維持管理を継承していく。社会全体の物流の効率化、ひいてはSDGsが目指す持続可能な社会の発展に資することを願っている。